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Rasty × MAX Orido
新しいことにチャレンジしたかった。
「俺もだいぶ良い年齢になってきたから、何か新しいことを始めたかったんだよね。」と、語り始めた織戸学選手。
2012年頃から新規事業を検討中だった頃に、取材である場所のシミュレーターに出会った。
ゲームすらほとんどしたことが無い織戸学選手が、その時「これはすばらしい」と思い、そこからシミュレーターに興味を持ち始め、色々調査したという。
そこで、現在導入しているシミュレーターに出会い、2012年秋から準備を開始し、2013年3月に横浜市都筑区のセンター北駅前に「130R YOKOHAMA」をオープンした。
シミュレーションから生まれるコミュニケーション
「130R YOKOHAMAをはじめて見たら、大変なことの方が多い。でも凄く楽しい。」
織戸学選手が経営、指導するシミュレーターと言うこともあり、その情報はネットを中心に瞬く間に広まり、オープンから多くの様々なお客様が訪れた。
それにより、始めてみて分かる大変な事も予想以上に多かった。しかし、それ以上に様々なお客様とシミュレーターを通じてコミュニケーションを取れていることが凄く楽しい。
シミュレーターはすべてが数字で示される。しかしそのデータだけでは無く、各サーキットの攻略などをこの場で話すことが出来る。 そうやってレクチャーすることにより、自分自身も凄く良いトレーニングになるという。
「86に近い車両でFSWをここで練習したおかげで、実車練習無しでGR 86/BRZ Raceで去年勝ったしね(笑)」
と、自ら自社のシミュレーターの効果を証明した。
現実に近いセッティング
オープン当初から織戸学選手はシミュレーターのセットアップに拘り行っている。シミュレーターをメーカーから買ったままでは現実とは離れてしまっているため、細かいセットアップをすべて織戸学選手が行った上で、お客様に乗せている。
「そのままでは違和感がある。セットアップを細かく常に確認しないとリアルにならない」
と織戸学選手は言う。
ここには現役のプロドライバーも多く訪れる。SUPER GTやスーパー耐久などのシリーズ戦の前に練習で来る選手が多く、時にはプロドライバーでいっぱいになることも。
やはりプロドライバーが乗るとすぐに理解し、速くなる。しかも、そのプロドライバーが得意とするサーキットだと、織戸学選手はそのタイムを抜くことが出来ないという。その選手のデータを分析し、ドライビングを近づけるとタイムは近づける。
そこがここでしか味わえないシミュレーターにセットアップが加わったリアル感だという。
未来のレーシングドライバー
とにかくこの1年で色々な人が訪れた。当初は年齢層が高いと思っていたが、若い人も多く来てくれるのが嬉しい。その中にはまだ免許も持ってない高校生もいる。そんな日頃車が乗れない人でもここに来ればサーキットを走ることが出来る。
「昔はサーキットで実車を乗るしか自分の速さをアピールすることが出来なかった。今はこのシミュレーターで十分に速さをアピールできる。でもそれが逆に昔より大変だね。」

アピールできる方法が増えると速い素質を持った若手がいることが分かる。その分ライバルも増える。各レースのドライバーシートが限られている以上、現在ではドライビングだけでは無く、人間性も見られている。
そのためか、
「今の若手ドライバーは機械のような子が多いね。自分らしさが無い。」
と織戸学選手は言う。
「俺たちの頃は、むしろ多少悪いことをして先輩に認めて貰ったよ(笑)それで覚えて貰ってステップアップのチャンスを貰ったね。今の若いドライバーはそんなことしないよね。」
織戸学選手の言う「悪いこと」は「個性」の事だ。ライバルが多い以上、その個性をうまく先輩に見せないと、ステップアップは出来ないと言いたいのであろう。その「個性」も130R YOKOHAMAで織戸学選手に会えば教えてくれるはずだ。
Profile
130R YOKOHAMA代表 / 織戸学

SUPER GT、D1GPや、タイムアタックなど、マルチに活躍している織戸学選手。
横浜市都筑区にあるレーシングシュミレーター「130R YOKOHAMA」のオーナーでもある。
130Rには、織戸学選手からドライビングテクニックを学ぼうと、多くの人が訪れている。